書籍紹介 尖閣反駁マニュアル百題

<書籍紹介 いしゐのぞむ『尖閣反駁マニュアル百題』>
(はじめに)
先日、最寄りの書店に注文していた上記書籍が、やっと本日(14年6月16日)手元に届きました。著者は漢文の先生だけあって、文章は正漢字(=旧字体)を使っています。ゆえに一見学術書風です。しかし、初出の漢字にはふりがなも振ってありますので、読みにくい印象は受けません。また、文章だけでなく、途中に図版も挿入されており理解を助けます。したがって、一般読者でも大丈夫です。
(尖閣の歴史総説)
 尖閣問題には、日本政府が尖閣諸島を沖縄県に正式に編入した「1895年1月14日」以前の歴史的事実を語る「尖閣前史」と、それ以降の国際法的事実に基づいた歴史を語る「尖閣史」があります。 日本の外務省などは後者を中心に語ります。しかし、中国政府は、清・明の時代まで遡り、それ以前の歴史「尖閣前史」を語り、自国の尖閣諸島(中国名;釣魚島など)に対する領有権を「古来中国固有の領土論」として主張しています※1。尖閣問題については、とりわけ前者の尖閣前史が重要です。なぜならば、現在の中国は、国際法に従う意思はもとよりありません。ゆえに、尖閣前史が大切なのです。

※1 中国政府の公式見解;「釣魚島は中国固有の領土」白書(2012年9月25日)

(中国の歴史的権原!?)
最近の中国側は、この1895年以降の日本側の国際法的事実の主張には、一切耳を傾けないというか痛痒を感じていません。なぜなら、中国側の主張の最大の根拠は、この沖縄県への編入以前から、中国(明・清の時代)固有の領土だと主張しているからです。
 日本側がいくら近代国際法にのっとり領有化(1895年)したと主張しても中国側と議論が噛み合っていません。中国側のこの主張(歴史的権原)を崩すためには、やさしい単純な説明で国際社会に訴えていく必要があります。この点に答えた書籍が本書です。
(その二つの主張)
中国側の主張は、要約しますと二つあります(中国政府の公式見解から)。その一つ目は、明示の主張として「台湾の付属島嶼」であるということ。もう一つは見逃しやすいのですが予備的主張として、「中国大陸本土(福建省)の一部」である主張も含んでいるはずです。どちらの主張も、明代まで遡って「古来中国固有の領土」と主張しています。これも検討する必要があります。こういう論点を、漏らさず解説しているのが本書です。

(結語)
本サイト読者の皆さんには、この書籍を読んでこの問題について、「自分で考えることができる知識」を習得して欲しいということです。ただ、本書は中国側主張への反論形式をとっていますので、中国政府の公式見解※1ぐらいは、基礎知識として知っておく必要はあるでしょう。その基礎知識の部分も、本書第一章・第二章を読んでいけば大丈夫だと思います。本ブログ読者は、基礎知識部分ついては問題ないでしょうから、もちろん”買い”です。また、中国当局にとっては、この書籍は恐るべき一冊※2になることであろう。

※2 ただ、付言しておきますと領土の問題に関する書籍は、尖閣に限らず日本側の立場で書かれた本は、そう多くはありません。逆の立場で書かれた本は、巷にあふれています。それだけに本書は貴重です(第二章参照)。

【目次】ネット書店<amazon>から
第一章 なぜ今、尖閣前史か
第二章 現代の論説に駁す
第三章 史料百題指南 ←本書の眼目はこの章です。百論点を漢文史料に基づいて解説しています。
第四章 尖閣南北航路説

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【関連前記事】
 尖閣前史全4回 記事インデックス<目次&解説>

回<国際 尖閣前史・中国の手法>
回<尖閣前史2 古来中国固有の領土論>
回<尖閣前史3 古来中国固有の領土2>
回<尖閣前史4 中国政府二つの主張>

<歴史 尖閣問題の論点紹介>
上記1の全4回を要約したもの。その他、管理者が折に触れて書いた尖閣関連記事は、右サイドのブログテーマ”尖閣問題”をクリックして下さい。

【関連リンク】
人民網<「釣魚島は中国固有の領土」白書>(2012年9月25日)


尖閣反駁マニュアル百題
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この記事へのコメント

  • 自作自演

    待望の本が・・。嬉しいでしょう
    これを糧にこれからも・・・・
    応援してくれる人達のためにミンミン打破
    2014年06月19日 20:51
  • 自作自演

    今ニュースで都議会の議会中に野次を飛ばしたのを見ましたが議員の野次はいつものことですが、品位を欠く野次が多すぎる。
    誰が言つたかはすぐ判るんだから
    よく考えろよとGくんのブログを借りて
    代弁しました。
    2014年06月19日 21:41
  • 管理者Gくん

    自作自演さん、コメントありがとうございます。上記尖閣の本ですよね。本文記事を書いた当日(買った6月16日)は、前書き・目次と以前から気になっていたところ2・3頁を読んだだけでした。ここ数日で50頁ぐらい読みました。読み進んでも期待を裏切らない内容です。著者はさすが専門家、漢文史料をよく読み込んでいるように感じました。また、史料解釈のみならず反駁のし方など、例を挙げての説明もあります。この項目は、他の領土問題にも応用がききそうですよ。

    著者は、正漢字を使用していますが、その理由も著書中に書いてあります。これは、管理者G個人の考えですが、著者が正漢字を用いているのは、漢文史料原典に忠実でありたいことが一つ、もう一つは正漢字(常用漢字は日本だけの字体)が、東アジア共通の漢字であることもその理由の一つだと推測しています。
    2014年06月19日 22:18
  • 自作自演

    中国4000年の歴史と繁栄についてたくさんの幾雑した本が出ているのは知りませんでした。
    中原の覇者ということも無いような気もします
    ただ逸脱した民族の集合体であり、道徳観むしろ無し
    の人集、歴史認識がどのこのと日本にいえるか?
    歴史、歴史書もたぶん改ざんされていることでしょう。
    2014年06月22日 12:19
  • 管理者Gくん

    自作自演さん、コメありがとうございます。中国は、自分で物語り(半分真実・半分創作=改ざん?)を作って、日本側にぶつけて来ます。この尖閣の問題も例外ではありません。それは、自作自演さんがおっしゃるように「改ざん」であるかも知れません。

    でも管理者Gは、これも作戦としてはアリだと考えています。攻める方としては、当然の手法です。中国側としては、清・明の時代(480年前)まで遡って、その歴史的権限!?を主張しています。その中国側主張に対して、逐一反駁しているのが本書なのです。ただ今70頁まで読みました。
    2014年06月23日 17:58
  • 自作自演

    やっと機能制限が少し緩和されたのでいかった。
    中国の歴史書と言うのは昔のことは余り無いと聞きました
    歴史物語は司馬遷からだと。
    Gくんさんのお勧めの本は、中国にとってはいやな本でしょう。
    PHに寄ると中韓の史実
    歴史認識なるものはまったくありません。
    2014年06月24日 22:20
  • 自作自演

    あっ、それと中国側から反論出て来ますかね!?
    2014年06月24日 23:27
  • 管理者Gくん

    自作自演さん、コメントありがとうございます。司馬遷までは、遡りません(2000年以上前の人)。後段、さすが自演さん、いい所に気が付きましたね。そうなんです。日本国内の反響次第でしょうね。でもこういう学術書は、ジワジワ効いてきます。

    無視できないとなれば、中共は専門の対処機関を持っていますから、組織的に対処するでしょうね。先ずは様子見です。その後、経験則でいいますと、著者の誤解に基づく誤読だとか、不利と見ればまともに反論せず”水掛け論”に持っていく手法が予測されますね。
    2014年06月25日 00:38
  • パラン島

    梅雨空が鬱陶しいですね。

    尖閣前史……恥ずかしながら、琉球藩が薩摩藩と清の双方と朝貢外交をしていたことくらいしか思い浮かびません。
    そういえば先日、図書館をうろついていると、井上清という人物が著者である本が目に留まったのですが、古い本(1996版)だったためにスルーしてしまった。
    でも後になってネットで調べると、それが正解だったのかもしれません(笑)。

    今回Gくんさんがご紹介なさった本は、図書館で見かけたら必ず借りることにします。
    2014年06月27日 17:05
  • 管理者Gくん

    パラン島さん、コメありがとうございます。Chaamieyさんのところでは、専門のChaamieyさんを飛び越えての回答コメ、僭越でまずかったかなと思っています。そのコメに加えて、最初に、1905年の竹島編入時の事情を語った学者は、堀和生さんの論文(1987年)だったと思います。

    竹島問題と比較しますと、この尖閣問題は、島名の比定・混乱はありませんので、その点、はいりやすいかなと思います。ただ、漢文史料の解読は、やはり専門家である著者しかできないと思っています(日本の学者では)。自分も95頁ぐらいまでしか読んでいません。第2章では、パラン島さんご指摘の井上氏の著作のことも採り上げていますよ。

    この書籍を読んでいてのちょっとした発見は、中国と韓国の主張の構図は、似ている(=といってもいいかも)ということです。両国(中・韓)の元気の源=「主張の源泉」はなにか?と言いますと、それは編入前の「○○前史」です。これをつぶせば、これ以後の主張は、自動的に潰えるという著者の主張です。著者の着眼点でした。それが本書では「尖閣前史」です。
     
    転じて竹島問題でいえば、相手側(韓国)の元気の源は「竹島前史」です。日本が竹島を正式に島根県に編入した1905年以前の歴史(具体的には1900年~1906年頃)の相手側の主張をつぶせば、それ以後の主張は自動的に潰えます。コメ欄に書く内容としては長くなりましたが、いずれ単独スレッドにしてまとめてみたいと思っております。
    2014年06月27日 20:03
  • パラン島

    Chaamieyさんは、おそらく今は反論の翻訳でてんやわんやだと思います(大変でしょうが、ありがたいですね)。
    Gくんさんのコメントも、僭越というよりも大助かりなのでは…と思います。

    ところで、Gくんさんがご指摘になられた岩波の本とは、『史的検証竹島・独島』(内藤正中・金柄烈)ですね。
    2、3度借りて読みましたが、発刊時に村川家で発見されたばかりの「元禄九丙子年朝鮮舟着岸一巻之覚書」の中に記された「朝鮮八道の図」に着目していたのが、印象に残っています。
    日本では信頼に値する人物ではないとされる安龍福ですが、竹島松島は江原道に属する島だと訴える目的があったことは間違いないのだと言いたいようですね。
    2014年06月27日 22:35
  • 管理者Gくん

    フォローありがとうございます。Chaamieyさんのブログ(右リンク<日韓近代・・>)は、外務省なども観ています。外務省HPの竹島位置略図の不備を指摘しましたら、数日後には訂正されていました(笑)。
    内藤氏の本はそうです。図書館から借りるときは、半月城こと朴さんの本とセットで借りています。安龍福のそれ、読んだことあります。彼は国(朝鮮国)の使節でないということで、最近は関心がなくなりました。

    昨夜、ネットで見かけたのですが、1905年の竹島編入時の事情については、島根県の竹島研究会最終報告で塚本孝さんが報告書を書いていました。今晩読んでみます。
    最後に尖閣に戻りますと、昨晩TV番組「朝まで生テレビ」で、尖閣問題もやっていました。元米国務省のケビンさん、元防衛大臣の森本さんが、よかったです。しかし、全体的には、「尖閣前史」に詳しい人がいなくて、日本側が圧倒的有利な議論とはなっていませんでした。そういう点でも、上記本文・石井さんの書籍はお勧めです。
    2014年06月28日 09:56
  • いしゐのぞむ

    皆樣、有難うございます。下のリンクの通り、
    http://senkaku.blog.jp/archives/22758424.html
    平成27年3月2日(月)午後7時より、
    池袋の勤勞福祉會館大會議室にて講演します。お時間のある方は是非お越し下さいませ。
    2015年02月25日 18:53
  • 管理者Gくん

    書籍を採り上げて、その著者から投稿いただけたことは、光栄です。本ブログ読者の方は、いしゐのぞむ『尖閣反駁マニュアル百題』は、どこからも読めるようになっています。ぜひ書店などで手に取ってみて下さい。

    琉球王国の歴史について、上記著者のブログで詳しい広報があります。ご覧ください。「尖閣問題」は、琉球王国の歴史と密接な関連があります。その関連で著者と識者(仲村覚氏)の講演会です。
    2015年02月26日 20:21
  • いしゐのぞむ

    「漢文史料原典に忠実でありたい、東アジア共通の漢字」
    その通りです!
    2016年09月27日 23:21
  • 管理者Gくん

    いしゐ先生(表題題図書:いしゐのぞむ『尖閣反駁マニュアル百題』著者)!コメント投稿ありがとうございます。

    領土の問題は、歴史の問題でもあります。北から、北方-竹島-尖閣です。北方はロシア占領・植民までされています。竹島は、理屈(歴史・国際法)では勝っても、占拠はあちらにされています。この三者で唯一、実効支配を維持しているのは、尖閣だけです。この事実は、たいせつにしたいです。国際法云々は外務省に任せて、いしゐ先生(尖閣第一人者)らは、歴史(特に編入直前)の解明・広報に努めて欲しいです。
    2016年09月28日 19:56

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